長距離ドライブが多く、走行中にスマホやタブレットをしっかり充電したい。でも12Vのシガーソケットからの給電では容量が心もとない。そこで、走行中にポータブル電源(EcoFlow RIVER 3)をまとめて充電できる走行充電器を導入しました。選んだのは EcoFlow Alternator Charger 600。2023年式スイフトに自分で取り付けています。
この記事は、実際にDIYでやってみて分かった配線ルートと工夫(と失敗)を写真付きで残した施工記録です。穴を開けずに配線を車内へ引き込む方法や、ヒューズボックスを使わないACC信号の取り出し方も紹介します。同じスイフトや普通車で導入を考えている方の作業見本にどうぞ。
※走行中に何W入るか・燃費への影響などの走行レビューは 別記事 にまとめました。
⚠️ 先にデメリットも正直に
Alternator Charger 600は、エンジン始動を自動検知して充電を始められる代わりに、ACC信号線を車両側から取り出す配線作業が必要です。EcoFlow公式も「自動車の電気系統は複雑なので、配線は資格を持つ自動車電気技師による取付を推奨」と明記しています。本記事はあくまで筆者がDIYで実施した記録です。不安な場合はカー用品店・ディーラーに依頼してください。
先に結論(この取付のポイント3つ)
- 配線は穴を開けず、既存グロメットの一部をめくって車内へ。原状回復と防水を両立
- ACCはヒューズボックスからではなく、純正ディスプレイオーディオ裏で電源分岐コネクターから取得(ヒューズボックスは蓋が閉まらなくなるため)
- 所要時間 約3時間/難易度 ★★★(中〜やや高)。配線ルート決めと車内アース探しが山場

目次
なぜ取り付けたのか
一番の理由は長距離ドライブ中のスマホ・タブレットの充電です。移動が多く、シガーソケットのUSB充電だけでは家族の端末を同時にまかなうには足りませんでした。そこで、走行中にポータブル電源そのものを充電して、車内では大容量のRIVER 3から給電する形にしました。
あわせて、将来的には「非常時にスターターバッテリーへ逆充電する保険」「長期駐車時のトリクル充電での劣化防止」も1台でまかなえるのが魅力でした。ただし逆充電・バッテリーメンテナンスモードには別売のXT150ケーブルが必要です。今回はRIVER 3への充電が目的だったため、付属のXT60ケーブルのみで運用しています。

【作業前のエンジンルーム】右側に見えるのが12Vの鉛バッテリー。ここを起点にプラス配線を引き、車内を通してトランクの本体まで配線していきます。
購入品・費用一覧
EcoFlow本体とポータブル電源はフリマアプリで、配線部材はネット通販で揃えました。総額はおよそ5.2万円。新品の定価で揃えるより大きく抑えられています。
| 品名 | 購入先 | 価格 |
|---|---|---|
| EcoFlow Alternator Charger 600(本体) | メルカリ | 32,800円 |
| EcoFlow RIVER 3(ポータブル電源/公式認定整備済品) | ラクマ | 15,000円 |
| 増設バッテリーケーブル KIV 8sq 赤・黒 各1.5m(R8-8端子) | ネット通販 | 2,100円 |
| ANL-50A ヒューズホルダー(Heschen)+M8ステンレスボルト | ネット通販 | 1,792円(同一注文) |
| ステンレス六角穴付ボルト M5×25 セット | ネット通販 | 数百円 |
本体付属品(入力ケーブル・ヒューズケーブル・XT60出力ケーブル)だけでも電気的には完結しますが、プラス配線をバッテリーまで延ばすためKIV 8sqケーブルとANL-50Aヒューズを追加購入しました。理由は後述の配線設計で説明します。工具は10mm/M6スパナ、プラスドライバー、電工ペンチ、テスター、結束バンド、絶縁テープを用意。あわせて、バッテリー端子を外す間の設定保持用にカーメイト メモリーキーパー SA203を使いました。
配線の全体設計(プラス・マイナス・ACC)
作業に入る前に、3本の配線をどこに通すかを決めておくと迷いません。今回の設計は次のとおりです。
- プラス(+):本体 → KIV 8sq(赤)で延長 → ANL-50Aヒューズ → バッテリー+端子に直結。ヒューズはバッテリー直近に入れる
- マイナス(−):EcoFlow公式が「始動用バッテリーの−端子への直結は禁止」としているため、車室内(助手席足元)の車体アースボルトに接続。KIV 8sq(黒)を使用
- ACC信号:エンジン始動を自動検知させるため。純正ディスプレイオーディオ裏で電源分岐コネクターからACCを取り出し、ギボシで本体側ACC線と接続
マイナスを車内アースにしたのは、グロメットのめくり穴を最小限にして防水と原状回復を優先したかったからです。プラスだけをエンジンルームへ延長すればよいので、その延長用にKIV 8sqを買い足しました。
取付手順
Step 1|メモリーキーパー(SA203)で車両電源をバックアップ
バッテリー端子を外す前に、カーメイト メモリーキーパー SA203で車両側の電源を確保します。接続は RIVER 3 → SA203本体 → 車両OBD2コネクタ の順。スイフトのマイルドハイブリッドは学習値を多く抱えているため、メモリー保持しておくと再始動後のアイドリング・燃費学習が乱れません。

【①電源はRIVER 3から】SA203はUSB給電式。手元のRIVER 3から給電すれば乾電池も不要で、作業中ずっと安定して保持できます。

【②OBD2の位置を確認】スイフトのOBD2は運転席ハンドル下の右側。普段使わないので忘れがちですが、故障診断機やレー探連動でも使う場所です。

【③RIVER 3から給電してOBD2へ】助手席にRIVER 3を置き、メモリーキーパー経由でOBD2コネクタへ接続。差込みはカチッと感触が出るまで確実に。

【④LED点灯を確認】SA203のLEDが点いていれば保持中。LEDが消えたら保持が切れた合図なので、必ず点灯を確認してから端子を外します。
Step 2|バッテリーのマイナス端子を外す
10mmスパナでマイナス(−)端子のナットを緩め、端子を外して絶縁テープで養生します。必ずマイナスから外すのが鉄則。プラスから外すと、工具がボディに触れた瞬間ショートして火花が飛びます。SA203接続済みなら、外している間も設定は保持されます。
Step 3|プラス配線を作る(ANL-50Aヒューズ+KIV 8sq)
プラス側は、KIV 8sq(赤)にR8-8端子を圧着し、ANL-50Aヒューズを経由してバッテリー+端子へつなぎます。ヒューズはバッテリーのすぐ近くに入れるのが鉄則。万一ケーブルが車体と擦れて短絡しても、ヒューズが先に飛んで配線の発火を防ぐためです。

【ヒューズを噛ませる】透明ケースのANL-50Aヒューズホルダー。片側にバッテリーからの赤ケーブル、反対側に本体へ向かう赤ケーブルを固定します。端子は圧着+しっかり本締め。

【+端子へ接続】バッテリーの+端子ボルトにR8-8端子を共締め。指で仮締め→工具で本締めの2段階でナメを防ぎます。

【+端子はカバーで保護】接続後は必ず赤い絶縁カバーを装着。写真右上の黄色いタグは「50A/600Wまで」の注意書きで、ANL-50A構成と一致しています。
Step 4|配線ルート|穴を開けずに車内へ引き込む【最重要】
今回一番こだわったのが配線ルートです。エンジンルームから車内へは、既存グロメットの一部をめくり、穴を開けずに通線しました。ルートは次のとおりです。
- エンジンルームの既存グロメットの一部をめくって通線(助手席足元へ)
- 助手席足元のフロアカーペット下を通す
- 助手席ドア下のサイドシル内装樹脂を外して通線
- 助手席側の後席脇へ
- シート横を通ってトランクルームの本体へ

【入口:既存グロメット】新しく穴を開けず、既存グロメットの縁をめくって配線を通します。通した後はテープで養生し、水と擦れを防ぎます。

【貫通部のアップ】ゴムグロメットのめくり方を最小限にとどめるのがコツ。穴を広げすぎると防水も原状回復も損なうため、通る最小限だけ開けます。

【グロメット通過①:エンジンルーム側】ここが今回いちばんの難所。オレンジの内張り剥がし工具の先端にプラス線を括り付け、グロメットのゴムをめくって車内側へ押し込みます。針金より腰があって狙った隙間に通しやすいのがコツです。

【グロメット通過②:車内側に貫通】グローブボックス裏、エアコンフィルターの近くにあるグロメットから工具の先端が車内へ顔を出しました。ここまで来れば、あとは工具を引っぱってプラス線を車内側へ導けます。狭くて手が入りにくく、通線の成否を分ける工程です。

【床下カーペット下】助手席足元のカーペットをめくり、純正のパイプ・ブラケットに沿わせて配線。既存のハーネスと同じ経路をなぞると、あとで干渉しません。

【サイドシルを通線】「SWIFT」ロゴのステップ内装樹脂を外し、後席側から前方へ通線したところ。純正ハーネスの太い束に赤・黒ケーブルを沿わせ、結束バンドで一緒に固定します。既存配線と同じ経路をなぞるのが、干渉させないいちばんの近道です。

【純正ハーネスに沿って後方へ】グローブボックス裏の車内側。純正ハーネスに沿って、追加した赤・黒のケーブルを這わせます。結束バンドで純正配線と一緒に束ねると暴れず、見た目もすっきり。

【後席脇→トランクへ】後席左の付け根から、トランク側へハーネスを這わせます。縞テープで束ねた追加ケーブルを、シートベルトアンカーやステップの隙間に沿わせて逃がすと、乗員の足に当たりません。

【後席脇→トランク】後席シートの脇を通してトランクへ。ここまで来れば本体はすぐ。ケーブルは足で踏まない位置に逃がします。
🤔 実は引き込み方法で迷いました
もう一つの候補が「ストラットタワーの上を通し、助手席側のクオーターガラス下から車内へ引き込む」ルートでした。ただ、クオーターガラス下は雨の侵入を許しやすい部位。厳密な防水を考えると不安が残ります。一方グロメットめくりなら、後で完全に元へ戻せて水も入りにくい。この2点を優先して、最終的にグロメットをめくる方法に落ち着きました。
Step 5|マイナス(−)を車室内アースへ|ここで失敗しました
マイナス側は、助手席足元の内装樹脂(発炎筒があるあたり)の奥にある、車体金属へ締結された純正アースボルトに共締めしました。テスターで確実に0V=良好なアースであることを確認してから接続しています。
😅 失敗談:純正のクワガタ端子を曲げてしまった
そのアースボルトには純正電装品のクワガタ(Y字)端子が共締めされていました。自分のケーブルを重ねて締め直したのですが、締め込みすぎて純正のクワガタ端子を曲げてしまいました。導通・機能は問題ないものの、見た目は完全に失敗。教訓:共締めの純正端子は一度きれいに整えてから重ね、締めすぎない。トルクを掛けるほど良いわけではないと痛感しました。
Step 6|ACC信号線|ディスプレイオーディオ裏から取り出す
600の自動充電開始のキモがACC信号です。当初はヒューズボックスから取るつもりでしたが、ヒューズボックスから取り出すと蓋が閉まらなくなるため却下。代わりに純正ディスプレイオーディオ裏で、電源分岐コネクターからACCを取り出し、ギボシで本体側ACC線と接続しました。
本体のメインハーネスは助手席まででプラス・マイナス・ACCに分岐します。ACC線はグローブボックス裏 → ダッシュボード内 → ディスプレイオーディオ裏の分岐ACCへと配線しました。ここを通すと、エンジン始動と同時に本体が自動で充電モードに入ります。
⚠️ ACC配線は難所。純正配線から分岐を取る作業は車両側電装のトラブルにつながることがあります。EcoFlow公式も電気技師による取付を推奨しています。自信がなければこの工程だけでもプロに任せるのが安全です。
Step 7|本体をトランクに設置し、XT60でRIVER 3と接続
本体はトランクに設置。放熱のため周囲に5cm以上の空間を確保し、走行中に動かないよう滑り止めで固定します。今回はRIVER 3への充電が目的なので、付属のXT60ケーブルで本体とRIVER 3をつなぐだけ。逆充電やバッテリーメンテモードを使う場合のみ、別売のXT150ケーブルが必要になります。

【トランクに設置】本体(上・EcoFlowロゴ)とRIVER 3(下)を重ねて設置。ALT IN・BATTERY・XT60の各ケーブルを接続します。

【通電を確認】接続後、RIVER 3の画面が点灯。エンジンをかけると自動で充電が始まります。
Step 8|マイナス端子を戻し、SA203を外す
取り外しと逆の順で、最後にバッテリーのマイナス端子を戻します。戻す瞬間に小さな火花が出るのはコンデンサへの突入電流による正常現象。続いてOBD2側のSA203を外せば、メモリーバックアップも完了です。ナビの時刻やパワーウィンドウのオート機能が保持されているか確認して、取付は終わりです。
動作確認テスト
EcoFlowアプリで本体をBluetoothペアリングし、動作モードを通電テストしました。アプリでは車両タイプ・バッテリー電圧・始動電圧・ポータブル電源モデル・取付方法を選ぶ設定ガイドが出るので、実際の取付内容と一致するように回答します。

【モードの確認】付属XT60ケーブル接続時は充電モードのみ動作。逆充電・バッテリーメンテはXT150(別売)が必要です。

【まずファーム更新】ペアリング直後にファームウェアが最新へ更新されました。古いファームのままだと保護動作が誤発動して出力が出ないことがあるため、動作確認は更新後に。
走行中に実際に何W入ったか、燃費への影響などの走行データは別記事にまとめています → EcoFlow Alternator Charger 600 走行充電レビュー。
配線・取付の安全注意
- ヒューズ無しのバッテリー直結は厳禁 短絡電流で配線が即発火します
- マイナス(−)を始動用バッテリーの−端子に直結はNG(公式禁止) 車体アースへ
- アースは塗装・サビの上ではNG 金属面を出し、テスターで0Vを確認してから接続
- 共締めの純正端子を締めすぎない 端子が曲がります(筆者の失敗)
- 本体を密閉して熱がこもる配置はNG 熱保護で出力が絞られます
- ACC配線に自信がなければ専門家へ 公式も電気技師取付を推奨
よくある質問
- QACCはヒューズボックスから取らなくて大丈夫?
- A
はい。むしろヒューズボックスから取り出すとボックスの蓋が閉まらなくなることがあります。今回は純正ディスプレイオーディオ裏で電源分岐コネクターからACCを取り出し、ギボシで接続しました。エンジン始動を自動検知でき、蓋の干渉もありません。
- Qなぜマイナスをバッテリーに戻さず車内アースにしたの?
- A
EcoFlow公式が「始動用バッテリーの−端子への直結は禁止」としているためです。加えて、グロメットのめくり穴を最小限にして防水・原状回復を優先したかったので、プラスだけをエンジンルームへ延長し、マイナスは車室内の車体アースボルトで取りました。
- Qスイフトのマイルドハイブリッド側に影響は?
- A
本体は12V鉛バッテリー側に接続し、48V系統や補助リチウム側には触れません。鉛バッテリー側は走行中にオルタネータが補うので、これまで悪影響は確認していません。
- Qディーラー入庫時にバレる?
- A
バッテリー周りを見ればすぐ分かります。私は「DIY電装品を追加した」と申告し、点検時に確認してもらっています。隠さず申告するのが結局一番安心です。
- Q付属ケーブルだけで逆充電もできる?
- A
できません。付属のXT60ケーブルでは充電モードのみ。逆充電・バッテリーメンテには別売のXT150ケーブルと、XT150入力を持つポータブル電源(DELTAシリーズ等)が必要です。RIVER 3はXT60入力なので、今回は充電モードで運用しています。
まとめ
- 配線ルートを先に決める:穴を開けないグロメットめくり+助手席足元カーペット下→後席脇→トランクが現実的
- ACCはディスプレイオーディオ裏から:ヒューズボックスは蓋干渉があるので避けた
- 失敗から学ぶ:共締めの純正端子は締めすぎない。所要は約3時間みておけば安心
取付後の新潟までの走行充電レビュー(実際の充電量・燃費影響)は こちらの記事 にまとめました。
参考:EcoFlow Alternator Charger 600 公式ユーザーマニュアル
関連記事:スイフトのバッテリーをトリクル充電/ドラレコをDIYで取り付け(配線隠蔽)
この記事を書いた人:神奈川県在住の3人家族。マイカーはスズキ スイフト(2023年式)。長距離ドライブが多く、車中泊・電装DIY・燃費レポートを実測ベースで書いています。
免責事項:本記事は筆者個人の作業記録です。電装DIYは火災・感電・車両故障の危険を伴います。作業は自己責任で、不安な場合はディーラー・カー用品店の有資格者に依頼してください。仕様・価格は記事執筆時点(2026年)のものです。


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